I am 吸血鬼。


「なあ、そろそろ王宮に行かないとまずいんじゃねぇか?」

「うん。シャンが戻ってきたら行こうか」

「藍。藍にとって一番大切なものって何?」

「う~ん・・・大切な人の命・・・」

「そっか。・・・お前たまには善いこと言うな!」


藍と莉桜がじゃれていると、部屋をノックする音が響いた。

「リュウ・シルビット。お呼びと伺い参りました」

「入りなさい」


中に入ってきたのは背の高い紫銀の短髪、紫の瞳の男だ。

「久しぶりだな。元気にしていたか?」

藍は破顔する。莉桜も破顔する。

「久しぶり。リュウ、また背伸びた?」

そして、リュウもまた破顔する。

「お久しぶりです。お元気そうでなによりです」

「・・・なんで敬語なんて使ってるんだ?」

莉桜が眉を顰める。

「・・・うるせぇな。今日は父上がこの屋敷にいるんだよ!」

小声で話す。それを聞いた藍と莉桜は納得しつつ溜息を吐く。

「なるほど・・・で、そのお父上殿はどこに?」

藍が聞くと、リュウは小さな声でリビングと呟いた。


.
< 13 / 103 >

この作品をシェア

pagetop