I am 吸血鬼。


「ねぇ、藍と莉桜は、何でこっちにいるの?」

碧は素朴な質問をした。 

「・・・それは・・・逃げてるの。いろんなものから。莉桜はあたしが連れてきたの・・・二人には偉そうなコト言っておいてごめん・・・」

そういった藍は悲しげに微笑んだ。碧は聴いてはいけないことを聴いてしまった気分だった。結希は目を彷徨わせた。
莉桜は、切なくて、情けなくて悲しかった。
 
「藍。俺は自分の意思でお前についてきた。俺は、自分が行きたい場所にいる」

莉桜は、やるせなかった。もっとうまく言えない自分がもどかしくて嫌になった。

「ありがとう。大丈夫。あたしも強く、でかく、すんごい王になるよ」

そういう藍の顔はやっぱりどこか悲しげだった。


「よう。お前らなんつー顔してんだよ!」

シャンを伴ってリュウが戻ってきた。シャンは脚に傷を負っていた。太腿からは血が流れ出ていた。

「シャン!大丈夫!?今リュウに治させるから。・・・リュウ!早く!」

「シャン…」

リュウはシャンを抱きしめた。しかし、シャンはリュウを押し返した。

「いただけません。もう昔とは違うんです…」

藍は、堪らず口を挟んだ。

「シャン。もういいんだよ。もういい」

「シャン。純血で、俺らの幼馴染であることに変わりはない。だろ?」

莉桜も口を開く。

「でも…。前のように振舞うなんてできません。そんなことをすれば、陛下や重臣たちに…」

「そんなことはない。父上たちがなんだ?そんなこと関係ないんだよ」

藍はシャンの言葉を遮った。

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