I am 吸血鬼。



「きたか…バカめ」

藍は吐き捨てるかのように言ったあと、舌打ちをする。

庭園にある池の前に立つ藍を大勢の男達が囲む。

「思ったより大勢だなぁ。アデン警護に行かせてよかったな…

お前達、愚問だが一応聞いておく。命は大切だ。退く気はあるか?」

その集団のトップらしい男は答える。

「確かに愚問ですな。退く気などあるわけがないじゃないですか。退かねばならぬのは貴女だろう!まさに多勢に無勢とはこのこと」

「バカめ。私が退くわけないだろう。…確かに多勢に無勢だがな、これだけの人数たいしたことない」

「…その余裕がいつまでもつかみものだな」

「その言葉そのまま返してやる」

藍の淡々とした返事に顔を朱くして叫ぶ。

「もう良い。…やれ!殺せ!!」

トップらしい男の言葉に雄叫びをあげながら飛び掛かってくる。

藍はヒラリと舞でも舞っているかのようにかわし切り結ぶ。一時間ほどたつと、ひょっこり莉桜が空から降ってくる。

「うわっ」

蝙蝠のような翼をひろげたまま藍の上に覆いかぶさるように墜ちる。藍を囲んでいた奴らでさえも後退り様子を窺っている。

「いって〜、あっ、わりっ」
莉桜は慌てて藍の上からどく。藍と莉桜は顔が朱くなっている。

「ふっ、朱くなっちゃってぇ」

トップが鼻で笑う。

「「うっせぇ」」

藍と莉桜はハモり、慌てて羽根をしまい戦闘体制をとる。


.
< 64 / 103 >

この作品をシェア

pagetop