I am 吸血鬼。


医務室には誰もおらず、自分達ですることとなった。
「莉桜、傷出してみ?」

藍は、消毒の準備をしながら言うと、

「まず、藍だろ。明らかお前のがひどい」

莉桜は苦笑する。

「いいから。ほら、はやくこっち座って」

藍に無理矢理椅子に座らせられると、諦めた莉桜は傷のある脇腹をだすために、上半身裸になる。
程よい筋肉を身につけた体に一筋の刀傷。
血がまだ止まっておらず、滴りおちる。

「染みるけど我慢して」

消毒液を容赦なくぶっかけると、莉桜は眉間に皺をよせ小さく呻く。
藍はそれにかまわず、厚い布を宛て、締める。

「さんきゅ。さて、今度はお前のばんだ」

莉桜は着物に袖をとおし、長羽織りを着ると、藍を座らせる。

藍は渋々、傷を負った背中を莉桜に向け、袖を抜く。
「うっわ。痛そう…」

莉桜がボソッと、呟く。

「痛そうじゃなくて、痛いもん」

藍もボソッと呟く。

「そうか」

莉桜はそれだけいうと、いっきに手当をする。包帯を巻くのに少し躊躇いをみせる莉桜に藍は、

「…莉桜?どうかした?」

藍は顔だけ向ける。

「いっ、いや?」

莉桜は思い出したかのように包帯を手にとる。

背中を巻くには、どうしても胸に触ってしまう。莉桜の心臓は高速に動いていたのだった。…藍も同様だが…

巻き終わると、

「ありがとう」

お礼を言いながら、袖をとおす。


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