すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
リスと戯れて満足した藍里は立ち上がりその場を後にすると風は冷たいが強めの日差しが降り注ぐ中、藍里はのんびり散歩をしていた。
人間、やはり日の光を浴びた方が精神的にいいのだと実感しながら歩いていたのだけれど、遠くの方にいるある人物を目にして立ち止まった。

ーー嘘……どうしてここに……?

近くの大きめな木の後ろに隠れ、藍里は顔だけを出してその人物をもう一度見てみた。
それは今朝見たばかりの智大で、スマホ片手に誰かと電話しながら何かを探しているように辺りを見回していた。

やがて智大の元にさっきリスに群がれていた男性が駆け寄るとスマホを下ろし、二人で何か話ながら藍里がさっきまでいた場所まで歩いてきた。

「確かにこの公園に来てたんだな?」

「そうです。さっきまで奥の方にあるふれあい広場でリスに餌をやってたんですけど……すみません、俺が目を離した隙に見失ってしまいました」

ーーまさか、私を探してる……?

だとすれば何故なのか、どうして知り合いでもない男性が藍里を見張っていたような言い方をするのか訳が分からず、藍里は身震いした。

「そう遠くには行ってないはずだ。手分けして探すぞ」

「はいっ!」

話が終わったらしい二人はその場で別れて走り去っていく。
止めていた息をゆっくり吐いてそっと木の影から辺りを見回し、誰もいないことを確認するとその場を駆け出した。
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