すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「やっ……離して……っ!」
「あの時の恨み……お前で晴らさせてもらうぞ」
「あ……あの、時……?」
「あの時、あいつが……お前の旦那がいなければ俺達は捕まらずにすんだんだ」
ギリギリと手に力を込めていっているようで腕が折れそうなほど痛む。
顔をしかめて痛みに耐えながら男の憎々しげな目付きを見て、藍里は信じられないものを見るように目を見開いた。
「まさか……銀行強盗の……」
「ご名答。……と、言いたいところだが警察の嫁の癖に俺の顔も逃走したことも知らなかったのか。とんだ間抜けな嫁だな」
鼻で笑いながら言われた言葉に藍里は血の気が引いていくのを感じた。
事件の後、思い出すのを怖がらずにちゃんとニュースで流れていた顔写真を見ていたら……。
ニュース速報で流れていた犯人が逃走したという情報をちゃんと見ていたら……。
何より、智大に言われたように家を出なければ……。
数えきれない後悔が押し寄せ、体が震え、ゆるゆると首を横に振ると男はニヤリと笑った。
「お前の旦那を誘き寄せる餌になってもらう。
まあ、あっちの出方次第でお前もどうなるかわからんがな」
「や……っ……!」
震える体での抵抗も虚しく、どこかで奪ったのであろう車の後部座席に無理矢理乗せられた。
慌ててドアを開けようとしたが、それよりも早く男が運転席に乗り込み車を走らせる。
男がドアを閉める瞬間、自分の名前を呼ぶ焦った声が聞こえたような気がしたーー。
「あの時の恨み……お前で晴らさせてもらうぞ」
「あ……あの、時……?」
「あの時、あいつが……お前の旦那がいなければ俺達は捕まらずにすんだんだ」
ギリギリと手に力を込めていっているようで腕が折れそうなほど痛む。
顔をしかめて痛みに耐えながら男の憎々しげな目付きを見て、藍里は信じられないものを見るように目を見開いた。
「まさか……銀行強盗の……」
「ご名答。……と、言いたいところだが警察の嫁の癖に俺の顔も逃走したことも知らなかったのか。とんだ間抜けな嫁だな」
鼻で笑いながら言われた言葉に藍里は血の気が引いていくのを感じた。
事件の後、思い出すのを怖がらずにちゃんとニュースで流れていた顔写真を見ていたら……。
ニュース速報で流れていた犯人が逃走したという情報をちゃんと見ていたら……。
何より、智大に言われたように家を出なければ……。
数えきれない後悔が押し寄せ、体が震え、ゆるゆると首を横に振ると男はニヤリと笑った。
「お前の旦那を誘き寄せる餌になってもらう。
まあ、あっちの出方次第でお前もどうなるかわからんがな」
「や……っ……!」
震える体での抵抗も虚しく、どこかで奪ったのであろう車の後部座席に無理矢理乗せられた。
慌ててドアを開けようとしたが、それよりも早く男が運転席に乗り込み車を走らせる。
男がドアを閉める瞬間、自分の名前を呼ぶ焦った声が聞こえたような気がしたーー。