すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
〈智大side〉
母親同士が仲良くなり、藍里はよく智大の家に遊びに来ていた。
ある日、庭で咲いていたバラを目をキラキラさせて見ていた時なんて、庭のバラ全てを集めて花束にしてあげたいほど可愛かった。
そんな藍里がバラに小さな手を伸ばしたのが見えた。
ーー傷がつくっ!
『それにさわるな!』
『……とらないよ?ちょっとはなびらにさわろうとおもっただけ……』
『さわるなっていってるだろ!』
バラには鋭い棘がある。
刺さったらその手に傷がついて、可愛いその顔はみるみる曇ってその目から大きな涙がボロボロ零れるのだろう。
そんな姿は見たくなくて必死に止めたが、藍里はバラに伸ばしていた手をぎゅっと握り締めて込み上げてくる涙を必死に我慢していた。
そんな姿も可愛くて、けれど泣いてしまうのは嫌で……。
自分ではどうしようもなくてその場を駆け出した。
兄である圭介に藍里が泣きそうだと伝えて自分の代わりに行ってもらう。
なんとか上手く圭介が藍里をあやし、藍里の涙が零れなかったのを遠くから見て安堵した。
その日から、藍里に何かあれば圭介を呼んで対処してもらうようになった。
母親同士が仲良くなり、藍里はよく智大の家に遊びに来ていた。
ある日、庭で咲いていたバラを目をキラキラさせて見ていた時なんて、庭のバラ全てを集めて花束にしてあげたいほど可愛かった。
そんな藍里がバラに小さな手を伸ばしたのが見えた。
ーー傷がつくっ!
『それにさわるな!』
『……とらないよ?ちょっとはなびらにさわろうとおもっただけ……』
『さわるなっていってるだろ!』
バラには鋭い棘がある。
刺さったらその手に傷がついて、可愛いその顔はみるみる曇ってその目から大きな涙がボロボロ零れるのだろう。
そんな姿は見たくなくて必死に止めたが、藍里はバラに伸ばしていた手をぎゅっと握り締めて込み上げてくる涙を必死に我慢していた。
そんな姿も可愛くて、けれど泣いてしまうのは嫌で……。
自分ではどうしようもなくてその場を駆け出した。
兄である圭介に藍里が泣きそうだと伝えて自分の代わりに行ってもらう。
なんとか上手く圭介が藍里をあやし、藍里の涙が零れなかったのを遠くから見て安堵した。
その日から、藍里に何かあれば圭介を呼んで対処してもらうようになった。