すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
おずおずと少しずつ近付くために柔らかなシーツの上を移動し後少しの所で止まる。
智大はいつも決して急かしたりせず腕を広げてそのまま待っていてくれるし、やはり無理そうだと感じたらその時はすぐに引き下がってくれていた。
「無理しなくてもいいぞ?」
後少しの所を長い時間躊躇していたからか智大が少し眉を下げて逃げ道を作ってくれたが、その悲しそうな声と表情にまた胸がキュッとなった。
そんな顔をしてほしくなくて、藍里は覚悟を決めると目を瞑って勢い良く腕の中に飛び込んだ。
すると、すぐ智大に強くも弱くもない絶妙な力加減で藍里の小さな体が抱きしめられる。
「藍里……」
抱きしめられている時は毎回いつもと違って愛しそうに名前を呼ばれ、藍里はどう反応したら良いか分からず身を固くする。
それを恐怖から来る反応だと勘違いした智大はそっと背中を擦ってくれていた。
「まだ怖いよな……やっぱり無理してるか?」
「あの……全く怖くない、ってことはない、けど……無理はしてない、と思う……」
「思う?」
「だって、智君、名前呼ぶ時はいつもと声が違って優しいし……それに、すごく鍛えてて……体も私と全然違って……それがどうしても、なんか……」
怖いようで、でも安心するようで……。と思いをちゃんと伝えたいのに伝えられないもどかしさに藍里は口を閉ざした。
「一緒だと困る。藍里に好かれる為に何年も必死に訓練して鍛えたからな」
「好……!」
智大の言葉に恥ずかしくなって俯くが抱きしめられている今、藍里の額は逞しい智大の胸板に当たってしまう。
それすらも恥ずかしくて顔を赤くしていると智大はその大きな手で壊れ物に触れるかのようにそっと頭を撫でてきた。
智大はいつも決して急かしたりせず腕を広げてそのまま待っていてくれるし、やはり無理そうだと感じたらその時はすぐに引き下がってくれていた。
「無理しなくてもいいぞ?」
後少しの所を長い時間躊躇していたからか智大が少し眉を下げて逃げ道を作ってくれたが、その悲しそうな声と表情にまた胸がキュッとなった。
そんな顔をしてほしくなくて、藍里は覚悟を決めると目を瞑って勢い良く腕の中に飛び込んだ。
すると、すぐ智大に強くも弱くもない絶妙な力加減で藍里の小さな体が抱きしめられる。
「藍里……」
抱きしめられている時は毎回いつもと違って愛しそうに名前を呼ばれ、藍里はどう反応したら良いか分からず身を固くする。
それを恐怖から来る反応だと勘違いした智大はそっと背中を擦ってくれていた。
「まだ怖いよな……やっぱり無理してるか?」
「あの……全く怖くない、ってことはない、けど……無理はしてない、と思う……」
「思う?」
「だって、智君、名前呼ぶ時はいつもと声が違って優しいし……それに、すごく鍛えてて……体も私と全然違って……それがどうしても、なんか……」
怖いようで、でも安心するようで……。と思いをちゃんと伝えたいのに伝えられないもどかしさに藍里は口を閉ざした。
「一緒だと困る。藍里に好かれる為に何年も必死に訓練して鍛えたからな」
「好……!」
智大の言葉に恥ずかしくなって俯くが抱きしめられている今、藍里の額は逞しい智大の胸板に当たってしまう。
それすらも恥ずかしくて顔を赤くしていると智大はその大きな手で壊れ物に触れるかのようにそっと頭を撫でてきた。