すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「……?あれ……?」
智大が運転する車はいつの間にか家を通り過ぎていて、藍里は窓の向こうの景色と智大を何度も見返した。
「智君?……家、過ぎてる……」
「分かってる」
少し強めの声で返されて、藍里は口を引き結ぶとシートベルトを強く握った。
智大は言い方がキツかったのを察したのか片手で乱暴に頭を掻くと、あー……。と何やら言葉を選んでいるようだった。
「たまには外食でもしようかと思ったんだ。俺と二人だったら嫌か?」
「そ、そんなことない!」
結婚してから、いや、今まででも初めての外食のお誘いに藍里は驚き、智大の言葉を即座に否定した。
思ったよりも食いついた藍里に智大は小さく笑っていて、少し恥ずかしくなってしまった。
「何が食べたい?……情けない話、藍里の好きな物を何も知らないんだ」
聞かれて、自分も智大の好きな物をちゃんと知らないなと思いながら、藍里は恐る恐る口を開いた。
「パスタ……」
「ん?」
「パスタが好き……。でも、お店のは量が多くて食べられなくて……」
「なら、残った分は食べてやる。だから好きな物を食べたらいい」
ぶっきらぼうなその言い方の中には優しさがちゃんと含まれていて、藍里はその事に気付くと目を細めてふわりと微笑んだ。
智大が運転する車はいつの間にか家を通り過ぎていて、藍里は窓の向こうの景色と智大を何度も見返した。
「智君?……家、過ぎてる……」
「分かってる」
少し強めの声で返されて、藍里は口を引き結ぶとシートベルトを強く握った。
智大は言い方がキツかったのを察したのか片手で乱暴に頭を掻くと、あー……。と何やら言葉を選んでいるようだった。
「たまには外食でもしようかと思ったんだ。俺と二人だったら嫌か?」
「そ、そんなことない!」
結婚してから、いや、今まででも初めての外食のお誘いに藍里は驚き、智大の言葉を即座に否定した。
思ったよりも食いついた藍里に智大は小さく笑っていて、少し恥ずかしくなってしまった。
「何が食べたい?……情けない話、藍里の好きな物を何も知らないんだ」
聞かれて、自分も智大の好きな物をちゃんと知らないなと思いながら、藍里は恐る恐る口を開いた。
「パスタ……」
「ん?」
「パスタが好き……。でも、お店のは量が多くて食べられなくて……」
「なら、残った分は食べてやる。だから好きな物を食べたらいい」
ぶっきらぼうなその言い方の中には優しさがちゃんと含まれていて、藍里はその事に気付くと目を細めてふわりと微笑んだ。