すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
ふれあい広場でリス達に餌を与えていると、不思議なことに藍里にはいつも通りくっついてくるリス達が、智大には一匹たりとも近付いていなかった。

「……どうして智君の周りには、リス達が近寄らないのかな?」

「俺は動物に好かれないタイプらしいからな。結婚前にも藍里の実家に挨拶に行った時、犬に何度も吠えられた」

「ムラサメさんに?」

人懐こく大人しいムラサメさんに吠えられるなんてよっぽどなのだろうと、藍里は少し同情してしまった。
動物好きの藍里にとって、動物に好かれないのはこの世の終わりと言ってもいいほどだ。

「……別に動物が好きなわけでも悲しんでるわけでもないから、そんな顔しなくてもいいぞ」

思っていた事が表情に出ていたのか、呆れたような顔をする智大に藍里は慌てて表情を戻した。

「動物、嫌いなの?」

「嫌いじゃないけど、別に好きでもない。普通だな」

確かに、動物を好きでも嫌いでもないという人も多いだろう。
藍里は納得しながら手に乗ってきたリスの背中をそっと撫でて微笑んでいると、智大が空咳をした。
< 171 / 420 >

この作品をシェア

pagetop