すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
二人の気持ちがある程度落ち着いてから弁当を広げて食べ、手を繋いでのんびり公園内を歩く。
今回はリスのふれあい広場に行くことなく、逆方向にある小さな植物園の方へ向かうことになった。
時々智大を見上げては、その視線に気付いて見下ろしてくれる。
その距離が近いのと穏やかに微笑んでくれているのとで藍里は嬉しくなって、何度も笑顔を見せていた。
植物を見ている間も、園を出て休憩でベンチで休んでいる間も手はずっと繋がれている。
今までなら恐怖に陥って震えていたのに、震えるどころか心から安心できた。
不思議だな。と思っていたら智大が歩く足を止めたので藍里歩くのを止めると、智大に少しだけ強めに手を握られた。
「藍里、今から言うことを落ち着いて聞いてほしい」
真剣な表情で言ってくる智大に頷くと、智大は藍里の耳に顔を近づけ小声で話す。
その内容に藍里は目を見開き、驚きを隠せない顔で智大を見上げた。
戸惑っていると智大は藍里を宥めるために優しく頭を撫でる。
そんな様子を人気のない遠い所から一人の男が鋭い目付きで歯噛みして見ていた。
「……何であんな顔を……。あの人の一番いい顔は……やめろ、触るな……あの人は僕の……」
ブツブツと呟く声は誰にも届かない。
やがて藍里と智大が立ち上がり移動するのを見て、その男もフラフラと歩き出した。
今回はリスのふれあい広場に行くことなく、逆方向にある小さな植物園の方へ向かうことになった。
時々智大を見上げては、その視線に気付いて見下ろしてくれる。
その距離が近いのと穏やかに微笑んでくれているのとで藍里は嬉しくなって、何度も笑顔を見せていた。
植物を見ている間も、園を出て休憩でベンチで休んでいる間も手はずっと繋がれている。
今までなら恐怖に陥って震えていたのに、震えるどころか心から安心できた。
不思議だな。と思っていたら智大が歩く足を止めたので藍里歩くのを止めると、智大に少しだけ強めに手を握られた。
「藍里、今から言うことを落ち着いて聞いてほしい」
真剣な表情で言ってくる智大に頷くと、智大は藍里の耳に顔を近づけ小声で話す。
その内容に藍里は目を見開き、驚きを隠せない顔で智大を見上げた。
戸惑っていると智大は藍里を宥めるために優しく頭を撫でる。
そんな様子を人気のない遠い所から一人の男が鋭い目付きで歯噛みして見ていた。
「……何であんな顔を……。あの人の一番いい顔は……やめろ、触るな……あの人は僕の……」
ブツブツと呟く声は誰にも届かない。
やがて藍里と智大が立ち上がり移動するのを見て、その男もフラフラと歩き出した。