すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
事情聴取などは後日にしてもらい、藍里と智大は家に帰るとソファで智大が入れたコーヒーを飲んでいた。

「今日は疲れただろ」

気遣わしげな声で言われ、藍里はカップを持ったまま首を横に振った。

「思ったよりは大丈夫だった……かな。怖かったけど」

苦笑しながらそう言うと、智大は真意を確かめるようにじっと見つめてきた。
今まではその視線が怖くて仕方なかったはずなのに、今では心配してくれているだけなのだと言葉にしなくても分かるようになった藍里は、その事を少し嬉しく思っていた。

「植物園の後……これからストーカーが現れるだろうから捕まえるって、前もって教えてくれたでしょ?
朝の吉嶺さんとの会話も、ストーカーに行動を起こさせるためにわざと聞かせてたって……その時は驚いたし不安だったけど、智君がずっと傍にいてくれたし、守ってくれるって言ってくれたから……だから大丈夫だったの」

言いながら藍里は智大に凭れかかると、智大は少し驚いてから藍里の手の中にあるカップを取り、テーブルの上に置いた。
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