すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

『永瀬が帰ってこない？』

「そ……そうなの……圭介さんにも聞いたけど、家にも帰ってないって……。それで、どうしたらいいか分からなくて……」

あれから三日。
智大の言う“暫く帰ってこない”と言っていたのは数時間程度の事だと思っていた藍里は、泣き疲れて眠ってしまった間も智大が帰ってきていないと思っていなかった。

気付いたのは早朝にトレーニングに行っていると思っていた智大の朝食を気まずい思いをしながら用意して待っていたのだけれど、いくら待っていても結局帰ってこなかった時だった。

『何で帰ってこないの？何か事件に巻き込まれたとか？』

「ち……違うの……喧嘩して……」

『喧嘩？誰と誰が？』

「私……と、智君……」

『は！？藍里が永瀬と喧嘩っ！？嘘でしょ！？』

千栄が電話の向こうで叫んでいる中、藍里は涙を拭いながら首を横に振った。

「や……やっぱり違う……喧嘩じゃないかも……。だって、私が一方的に智君に怒って……」

『ちょっと待って藍里、順番に話して？一体何があったの？』

千栄に促されて藍里は一瞬黙ると、もう一度涙を拭って三日前……智大と喧嘩してしまった日の事を詳しく話した。