すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
『自らの危険を省みず、誰かの為に命懸けで任務にあたる……永瀨のいる場所はこういう場所よね？あんまりこういうこと言いたくないけど、いつ何があってもおかしくない場所なの』

「そ、んな……」

『夫婦と言っても別の人間なんだから、意見の違いや衝突くらい、いくらでもあるわよ。でもね、後悔した時にはもう遅かったってならないようにしないと』

「千栄……」

『さ、うじうじと後悔してないで早く連絡して謝っちゃいなさい！ちゃんと話せば、永瀬も分かってくれるわよ』

「うん……そうだよね……。連絡して、謝って、帰ってきてもらう」

そして記念日のやり直しをする。と宣言すると、不思議と気持ちが上向きになった。

『そうね、きっと楽しい記念日になるわよ』

「うん！ありがとう、千栄」

『どういたしまして！これからは喧嘩になる前に電話してきてもいいからね。私も旦那の愚痴いっぱいあるし』

千栄の言葉に藍里はクスクス笑い、その後も暫く話してから電話を切った。

千栄のおかげで智大に連絡する決意も勇気も出た藍里は、その勢いのままスマホの画面に智大の電話番号を表示させる。
出てもらえるか分からないけれど、履歴があれば気付いた時に連絡をくれるかもしれないと何度か深呼吸してから通話ボタンを押そうとした時、知らない番号から電話がかかってきて、藍里は間違えて出てしまった。

「あ……え……っ？」

基本的に知らない番号からの電話は出ないようにしている藍里は動揺してしまったけれど、スマホから聞こえてくる知った声に気付いて慌てて耳に当てた。

「は、はい……！」

『先輩の奥さん、入江です！すみませんっ！永瀬先輩が……っ！』

入江からの話に藍里は顔色を変え目を見開くと、通話を切ったと同時に勢いよく家を飛び出した。
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