すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
タクシーを降りて大きな病院のエントランスへと目を向けると、そこにはタイミング良く出てきた入江と智大がいた。
「智君……っ!」
姿を見た瞬間、藍里は瞳から涙を溢れさせながら智大へ向かって全力で走った。
そんな藍里に気付いた智大は驚いたように目を見開きながらも、飛びついてきた藍里を片手でしっかりと抱き止めた。
「智君……智君……っ」
「藍里?どうしてここに……熱は……まだ微妙だな……」
抱き止めた腕が離れ、額に手を添えながら聞く智大の言葉に答える余裕もなく、藍里は出来る限りの力で抱きつく。
そんな藍里を宥めるように智大は藍里の背中をポンポンとリズム良く叩いてから、一つ溜め息をついた。
「入江、お前が連絡したのか」
「室山先輩の指示だったんですが……すみません、俺も気が動転して上手く話せなかったんです」
申し訳なさそうに謝る入江と、そんな入江に複雑な視線を向ける智大。
藍里は溢れる涙を拭うことも忘れてぎゅうぎゅうと抱きついた。
「藍里、一度離れ……」
「腕っ!腕大丈夫……っ!?痛い?痛いよね……どうしよう……」
パッと離れ、アームホルダーで吊るされた智大の右腕を痛々しく思いながらそっと触れると、止まることのない涙がまたポトッと落ちた。
入江からもらった電話は、智大が負傷して病院に運ばれたという内容だった。
すぐに電話を切ったので詳細までは分からなかったが、思ったよりも智大が元気な姿だったことに安心して涙が止まらなかった。
「……入江、何て連絡したんだ」
「“先輩が負傷して病院に運ばれました”と……詳細を伝える前に電話が切れてしまって……。でも良かったじゃないですか!先輩、奥さんと喧嘩してたんでしょ?これで仲直りですよっ!」
「お前、少しは悪びれろよ」
焦って自分をフォローしている入江と、呆れた顔をしている智大。
藍里は涙を拭うと、決して離すまいと智大の服をぎゅっと握った。
「智君……っ!」
姿を見た瞬間、藍里は瞳から涙を溢れさせながら智大へ向かって全力で走った。
そんな藍里に気付いた智大は驚いたように目を見開きながらも、飛びついてきた藍里を片手でしっかりと抱き止めた。
「智君……智君……っ」
「藍里?どうしてここに……熱は……まだ微妙だな……」
抱き止めた腕が離れ、額に手を添えながら聞く智大の言葉に答える余裕もなく、藍里は出来る限りの力で抱きつく。
そんな藍里を宥めるように智大は藍里の背中をポンポンとリズム良く叩いてから、一つ溜め息をついた。
「入江、お前が連絡したのか」
「室山先輩の指示だったんですが……すみません、俺も気が動転して上手く話せなかったんです」
申し訳なさそうに謝る入江と、そんな入江に複雑な視線を向ける智大。
藍里は溢れる涙を拭うことも忘れてぎゅうぎゅうと抱きついた。
「藍里、一度離れ……」
「腕っ!腕大丈夫……っ!?痛い?痛いよね……どうしよう……」
パッと離れ、アームホルダーで吊るされた智大の右腕を痛々しく思いながらそっと触れると、止まることのない涙がまたポトッと落ちた。
入江からもらった電話は、智大が負傷して病院に運ばれたという内容だった。
すぐに電話を切ったので詳細までは分からなかったが、思ったよりも智大が元気な姿だったことに安心して涙が止まらなかった。
「……入江、何て連絡したんだ」
「“先輩が負傷して病院に運ばれました”と……詳細を伝える前に電話が切れてしまって……。でも良かったじゃないですか!先輩、奥さんと喧嘩してたんでしょ?これで仲直りですよっ!」
「お前、少しは悪びれろよ」
焦って自分をフォローしている入江と、呆れた顔をしている智大。
藍里は涙を拭うと、決して離すまいと智大の服をぎゅっと握った。