すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「腕、痛い?」
「今は薬が効いてるから痛くない」
「どうして骨折したの?」
「レンジャー降下訓練……上から吊るしたロープを使って壁伝いに降下する訓練で、入江が命綱付けるのを忘れて手を滑らせたのを下で受け止めたんだ。
そんなに高くない所から落ちたから、入江はあの通り元気だっただろ?訓練は激しいから、これくらいの怪我は誰にでもよくある」
骨折するほどの怪我がよくあることなのかどうかが嘘か本当か分からないけれど、智大が藍里を心配させないようにしているのは間違いなかった。
藍里は触れたままの手をそっと撫でるように動かすと、一番不安に思っていたことを口にした。
「あのね……智君、まだ私のこと好きでいてくれる?」
「は?当たり前だろ?」
「私、またあんな風に智君に怒っちゃうかもしれない……それでも嫌いになったりしない?」
「今まで怒ったり出来なかったんだから、むしろもっと怒ればいい。それも他の男には見せない、俺だけが見れる藍里の姿だろ?」
優しく頭を撫でられ、藍里は気持ち良さに目を閉じた。
散々泣いてしまったのと、智大が帰ってこなくて不安で眠れなかった日々が祟って急激に睡魔が襲ってきたけれど、まだ眠っては駄目だと藍里は必死に言葉を紡いだ。
「千栄に言われたの……智君は危険な仕事をしてるから、何かあった時に……“後悔した時にはもう遅かった”、なんて事にならないようにって……。
だから私、後悔しないように……もうこんなことにならないように、何かあればちゃんと話したい……。智君も、何かあったらちゃんと言ってくれる……?」
「俺が言ったら、また藍里に怖がられて嫌われそうな気がするんだけどな」
「怖がらないようにする……嫌いにならない……傍にいてほしいの……どこにも、行かないで……」
大好き……。と最後まで言えたかは分からないが、藍里は智大に抱かれたまま眠ってしまった。
そんな藍里の耳元で、俺の方が好きだ。と囁かれたのだけれど、残念ながら藍里はその声を聞くことができなかった。
「今は薬が効いてるから痛くない」
「どうして骨折したの?」
「レンジャー降下訓練……上から吊るしたロープを使って壁伝いに降下する訓練で、入江が命綱付けるのを忘れて手を滑らせたのを下で受け止めたんだ。
そんなに高くない所から落ちたから、入江はあの通り元気だっただろ?訓練は激しいから、これくらいの怪我は誰にでもよくある」
骨折するほどの怪我がよくあることなのかどうかが嘘か本当か分からないけれど、智大が藍里を心配させないようにしているのは間違いなかった。
藍里は触れたままの手をそっと撫でるように動かすと、一番不安に思っていたことを口にした。
「あのね……智君、まだ私のこと好きでいてくれる?」
「は?当たり前だろ?」
「私、またあんな風に智君に怒っちゃうかもしれない……それでも嫌いになったりしない?」
「今まで怒ったり出来なかったんだから、むしろもっと怒ればいい。それも他の男には見せない、俺だけが見れる藍里の姿だろ?」
優しく頭を撫でられ、藍里は気持ち良さに目を閉じた。
散々泣いてしまったのと、智大が帰ってこなくて不安で眠れなかった日々が祟って急激に睡魔が襲ってきたけれど、まだ眠っては駄目だと藍里は必死に言葉を紡いだ。
「千栄に言われたの……智君は危険な仕事をしてるから、何かあった時に……“後悔した時にはもう遅かった”、なんて事にならないようにって……。
だから私、後悔しないように……もうこんなことにならないように、何かあればちゃんと話したい……。智君も、何かあったらちゃんと言ってくれる……?」
「俺が言ったら、また藍里に怖がられて嫌われそうな気がするんだけどな」
「怖がらないようにする……嫌いにならない……傍にいてほしいの……どこにも、行かないで……」
大好き……。と最後まで言えたかは分からないが、藍里は智大に抱かれたまま眠ってしまった。
そんな藍里の耳元で、俺の方が好きだ。と囁かれたのだけれど、残念ながら藍里はその声を聞くことができなかった。