すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「待ち合わせ?」

「うん、買い物の後に旦那さんと会う約束してたみたいで……デートみたいで素敵だなって思ったの」

二人並んで晩ご飯の準備をしつつ、藍里は買い物でいろんな服を試着したことや、先輩がその後に旦那と待ち合わせをしていたことを話していた。

その時に思ったことを口にしてみれば、スープを混ぜていた智大が何か考えるような素振りをしてから藍里を見下ろした。

「やってみたいなら俺達もしてみるか?待ち合わせデート」

「え?」

「二人が休みの時にわざわざ待ち合わせするのも微妙だな……。よし、藍里が休みで俺が夜勤明けの時なら時間も十分取れそうだな」

「や、でも夜勤明けで待ち合わせって……寝ないとしんどいよ?」

「夜勤中に仮眠はとれるから大丈夫だ。で、行きたいのか?行きたくないのか?」

「い……行きたい……っ!」

智大の体調は心配になるけれど、行きたいか行きたくないのかと問われれば、答えはもちろん“行きたい”だ。
素直に答えた藍里に口角を上げて微笑んだ智大は次々に、あの店の評判がいいらしい。とか、あそこはデートスポットらしい。といった情報をたくさん上げてきた。

あまりの詳しさに藍里が数回瞬きをしていると、智大は少し気まずそうな表情をした。

「……入江や先輩が教えてくれたんだ。藍里が喜びそうだって」

「私が……?」

「絶対喜ぶって言ってたから、いつかは連れていってやりたいとは思ってた」

そう言ってほんの少しはにかむような笑みを浮かべた智大に、藍里は嬉しくなって満面の笑みを浮かべた。
同窓会の前にまた一つ楽しみが出来て、藍里はウキウキする気分を止められなかった。
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