すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「お兄さん格好良いですねー、お一人ですかー？」

「良かったら私達と、ちょっとだけ遊びましょうよー」

キャッキャと女の子達は智大に話しかけているが、智大は何の反応も示さず表情も変えない。

ーー聞こえてないはずないよね……あんなに近いんだもん……。

藍里がおろおろしている間も女の子達は智大に、体格良いですよねー、スポーツしてます？とか、一緒にお茶しましょうよー。とずっと声をかけている。
それでも無反応な智大に痺れを切らした一人が、智大に向かって手を伸ばした。

「腕怪我してて大変じゃないですかー？私達がお手伝いを……」

「必要ない」

伸ばされた手からスッと避けた智大は視線を女の子達に向けることなく、ただ一言そう言った。

「わ、お兄さんクール！もしかして待ち合わせ？お友達が一緒でも私達全然良いよー？」

「そうそう、お兄さんの友達なら絶対格好良いもんねー」

智大の素っ気ない対応にもたじろぐことない二人は、相も変わらず高いテンションで智大に纏わり付いている。
そんな二人に少しだけ尊敬の念を感じていると、智大は深く溜め息をついていた。
< 269 / 420 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop