すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「遊びには行かないし、友人も来ない。分かったら帰れ」

「えー、帰らないよー」

「友達じゃないなら誰ー？もしかして彼女ー？私達より可愛いー？」

一歩も引く様子のない彼女達に智大が何て答えるのかと藍里がハラハラしながら見ていると、智大は不機嫌そうな顔をしながら口を開いた。

「彼女はいない」

「え、じゃあ、もしかしてフリーなの？ラッキー！ならやっぱり一緒に遊ぼうよ！」

「そうそう、なんならいつでも会えるように連絡先も教えちゃう！」

だから行こうよー。と再び女性が智大に手を伸ばすが、今回は何故か智大が避けようとする素振りを見せなかった。
もう少しで触れられるというところで勝手に体が動いた藍里は、咄嗟に智大の左腕に抱きついて自分の方へとグイッと引っ張った。

「こ……この人は駄目ですっ！この人だけは駄目なんですっ！！」

「藍里……」

突然の藍里の行動に驚いたように目を丸くした智大のその後ろで、同じように驚いていた様子の女性達はすぐに我に返って笑顔を見せてきた。

「びっくりしたー。もしかして、お兄さんの妹さん？」

「い、妹……！？」

「ねえ、妹さん？私達お兄さんと仲良くしたいだけだから、ちょっと話させてくれない？」

確実に藍里の方が年上なのに、身長のせいか子供扱いされてしまったことに愕然としていると、智大が苦笑いしながら藍里を見下ろしていた。