すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「遅い」
「え……」
休憩として駅にあるカフェに入り、それぞれ飲み物を頼み終えたタイミングで開口一番言われた言葉がそれで、藍里は目を丸くして何度か瞬きをした。
「来るのが遅い」
「で、でもさっきは早かったって……」
「あれは待ち合わせ場所に来るのが早かったって意味で、今言ったのは、ついてから俺のところに来るまでの時間だ。ずっと見てただろ」
「き……気付いてたの?」
「当たり前だ。お前が近くにいるかどうかくらい気配で分かるって、前にも言っただろ」
確かに前に言われたことはあるが、まさか今回のようにいつ来るか分からない上に行き交う人が多く、さらには見知らぬ女の子達に逆ナンされてる中で気付かれるとは思わなかった藍里は、ただただ驚いていた。
「何ですぐに来なかったんだ?」
「だって、女の子達に声かけられてたじゃない……行きにくくて……」
「お前は何に遠慮してるんだ」
呆れ混じりに問われ藍里は思わず口ごもった。
最初は智大が声をかけられていたのを見て戸惑ったのだが、途中からは智大の素っ気ない対応にも動じない女の子達の姿に驚いて、その懸命さを尊敬しつつも自分が出ていって相手がどう思うのかも、智大がどうするのかも気になって声をかけづらくなっていたのだった。
「え……」
休憩として駅にあるカフェに入り、それぞれ飲み物を頼み終えたタイミングで開口一番言われた言葉がそれで、藍里は目を丸くして何度か瞬きをした。
「来るのが遅い」
「で、でもさっきは早かったって……」
「あれは待ち合わせ場所に来るのが早かったって意味で、今言ったのは、ついてから俺のところに来るまでの時間だ。ずっと見てただろ」
「き……気付いてたの?」
「当たり前だ。お前が近くにいるかどうかくらい気配で分かるって、前にも言っただろ」
確かに前に言われたことはあるが、まさか今回のようにいつ来るか分からない上に行き交う人が多く、さらには見知らぬ女の子達に逆ナンされてる中で気付かれるとは思わなかった藍里は、ただただ驚いていた。
「何ですぐに来なかったんだ?」
「だって、女の子達に声かけられてたじゃない……行きにくくて……」
「お前は何に遠慮してるんだ」
呆れ混じりに問われ藍里は思わず口ごもった。
最初は智大が声をかけられていたのを見て戸惑ったのだが、途中からは智大の素っ気ない対応にも動じない女の子達の姿に驚いて、その懸命さを尊敬しつつも自分が出ていって相手がどう思うのかも、智大がどうするのかも気になって声をかけづらくなっていたのだった。