すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
少し長めに電車に乗って、着いた先には見事に桜が咲き誇った遊歩道があって、その光景を見た瞬間に藍里は目を輝かせた。
「すごい……綺麗……」
「人が多いけど大丈夫か?」
「うん、平気!早く行きたいっ!」
桜が咲いている期間は一週間と短く、見頃もあっという間に過ぎてしまう。
満開の桜を愛でようとたくさんの人がぶつかりそうな距離感で遊歩道に向かって歩いているのを見て、藍里は智大の右側に立った。
「ん?」
「智君の右手は私が守るから安心してね」
痛みはなくなり順調に回復していると言っていたけれど、やはり大事にするに越したことはないだろう。
藍里は両手を握って、任せて!と言うと智大は柔らかい表情を見せた。
「頼もしいな、任せたぞ」
「うん!」
手を繋ぐことは出来ないので、代わりにはぐれないように智大の服の裾を持って一緒に歩く。
智大はずっと目を輝かせている藍里を愛しそうに見つめていたが、藍里は桜ばかりを見ていてその視線には気付かなかった。
途中で広場のような少し開けた場所に出ると、いくつかの屋台が出ていた。
智大が軽食しか食べていなかったことを聞いて藍里はたこ焼きを買うと、息を吹き掛けて冷まし、自然な動作で智大に差し出した。
「はい、あーん」
「っ……お前、こういうのやるのに抵抗無くなったな」
「あ、そう言えば……もうずっとやってるから慣れたのかな……。智君は嫌?」
「いや、嫌じゃないけど……」
落ち着きがなさそうに視線をさ迷わせ、やがて差し出したままだったたこ焼きをパクッと食べた智大は微かに頬を赤らめていた。
智大が照れている様子に藍里は小さく笑うと、自分もとたこ焼きを一つ口に入れた。
「すごい……綺麗……」
「人が多いけど大丈夫か?」
「うん、平気!早く行きたいっ!」
桜が咲いている期間は一週間と短く、見頃もあっという間に過ぎてしまう。
満開の桜を愛でようとたくさんの人がぶつかりそうな距離感で遊歩道に向かって歩いているのを見て、藍里は智大の右側に立った。
「ん?」
「智君の右手は私が守るから安心してね」
痛みはなくなり順調に回復していると言っていたけれど、やはり大事にするに越したことはないだろう。
藍里は両手を握って、任せて!と言うと智大は柔らかい表情を見せた。
「頼もしいな、任せたぞ」
「うん!」
手を繋ぐことは出来ないので、代わりにはぐれないように智大の服の裾を持って一緒に歩く。
智大はずっと目を輝かせている藍里を愛しそうに見つめていたが、藍里は桜ばかりを見ていてその視線には気付かなかった。
途中で広場のような少し開けた場所に出ると、いくつかの屋台が出ていた。
智大が軽食しか食べていなかったことを聞いて藍里はたこ焼きを買うと、息を吹き掛けて冷まし、自然な動作で智大に差し出した。
「はい、あーん」
「っ……お前、こういうのやるのに抵抗無くなったな」
「あ、そう言えば……もうずっとやってるから慣れたのかな……。智君は嫌?」
「いや、嫌じゃないけど……」
落ち着きがなさそうに視線をさ迷わせ、やがて差し出したままだったたこ焼きをパクッと食べた智大は微かに頬を赤らめていた。
智大が照れている様子に藍里は小さく笑うと、自分もとたこ焼きを一つ口に入れた。