すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「仕事中、発作がおきたんだって?」
「っ……!」
今日に限って普段よりも比較的早く帰ってきた智大はリビングで立って出迎えた藍里の顔を見るなりそう言ってきたので、藍里はビクッと肩を跳ねさせた。
その事を一体どこから……。と言っても十中八九、圭介から聞いたのだろう。
発作の事に加え、“仕事中”と言われたことに藍里は後ろめたい気持ちから目を反らしてしまった。
“辞めたらどうだ”と言われたのにまだ続けていた事を知られ、どれだけ怒られるのかと気が気ではなかったのだ。
「だから兄貴にはお前に会いに行くなと言ってたんだ……」
「あ……その、発作は圭介さんが悪いんじゃなくて……っ」
私が……。と言おうとするがその前に、何が気に入らなかったのか智大に冷たい眼差しで睨まれ言葉を止めてしまった。
「“近付きすぎて発作をおこさせた”って兄貴が自分で言ったんだ。だから兄貴が悪い」
そう断固として言われてしまい、藍里はそれ以上何も言えずそっと目を伏せる。
前で重ねた一番下の手は震えているが、それに気付かれないように必死に上の手で下の手を強く握りこんだ。
「飯は……」
「あ……今日はシチューを……」
作った。と言おうと思ったが、その前に智大から盛大な溜め息が漏れて藍里は再び口をつぐむことになった。
「っ……!」
今日に限って普段よりも比較的早く帰ってきた智大はリビングで立って出迎えた藍里の顔を見るなりそう言ってきたので、藍里はビクッと肩を跳ねさせた。
その事を一体どこから……。と言っても十中八九、圭介から聞いたのだろう。
発作の事に加え、“仕事中”と言われたことに藍里は後ろめたい気持ちから目を反らしてしまった。
“辞めたらどうだ”と言われたのにまだ続けていた事を知られ、どれだけ怒られるのかと気が気ではなかったのだ。
「だから兄貴にはお前に会いに行くなと言ってたんだ……」
「あ……その、発作は圭介さんが悪いんじゃなくて……っ」
私が……。と言おうとするがその前に、何が気に入らなかったのか智大に冷たい眼差しで睨まれ言葉を止めてしまった。
「“近付きすぎて発作をおこさせた”って兄貴が自分で言ったんだ。だから兄貴が悪い」
そう断固として言われてしまい、藍里はそれ以上何も言えずそっと目を伏せる。
前で重ねた一番下の手は震えているが、それに気付かれないように必死に上の手で下の手を強く握りこんだ。
「飯は……」
「あ……今日はシチューを……」
作った。と言おうと思ったが、その前に智大から盛大な溜め息が漏れて藍里は再び口をつぐむことになった。