すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「まあ、ちゃんと仲良くやってて良かったわ。さ!みんな待ってるから入って!」
千栄が横にずれて居酒屋の引き戸を開けるが暖簾が掛かっていて中の様子は分からず、何故かシンとしていた。
店の中には仲の良かった友達だけではなく、長いこと藍里を傷つけてきた人達もいる。
どうしても一歩が出なくて中に入るのを戸惑っていると、智大が横に並んで手を握ってきた。
「一緒にいる。大丈夫だ」
「……うん」
智大の存在を頼もしく感じた藍里は、力強く頷くと漸く一歩を踏み出した。
ドキドキと心臓が暴れているのを感じながら智大と共に暖簾を潜って中に入った瞬間、四方八方から数多くの破裂音がして藍里はビクッと体を跳ねさせた。
「結婚おめでとうーっ!!」
「智大、藍里のこと幼稚園からずっと好きだったんだって?すごい長い片想いだったんだねー!」
「てか、それならあんな態度するなよなー。俺らてっきりさぁ……」
「そうだよなぁ……」
「今そんな話はいいのよ!とにかく藍里、本当におめで……藍里?」
男女問わず、たくさんの視線が藍里の方を向いていた。
みんなの手にはクラッカーが握られていて、先程の破裂音はそれなのだと頭では理解したが、心は追い付いてこなかった。
銀行の時の事件がフラッシュバックされて一気に血の気が引き、藍里がその場で意識を失いそうになった時、後ろから肩に手を置かれてハッとした。
千栄が横にずれて居酒屋の引き戸を開けるが暖簾が掛かっていて中の様子は分からず、何故かシンとしていた。
店の中には仲の良かった友達だけではなく、長いこと藍里を傷つけてきた人達もいる。
どうしても一歩が出なくて中に入るのを戸惑っていると、智大が横に並んで手を握ってきた。
「一緒にいる。大丈夫だ」
「……うん」
智大の存在を頼もしく感じた藍里は、力強く頷くと漸く一歩を踏み出した。
ドキドキと心臓が暴れているのを感じながら智大と共に暖簾を潜って中に入った瞬間、四方八方から数多くの破裂音がして藍里はビクッと体を跳ねさせた。
「結婚おめでとうーっ!!」
「智大、藍里のこと幼稚園からずっと好きだったんだって?すごい長い片想いだったんだねー!」
「てか、それならあんな態度するなよなー。俺らてっきりさぁ……」
「そうだよなぁ……」
「今そんな話はいいのよ!とにかく藍里、本当におめで……藍里?」
男女問わず、たくさんの視線が藍里の方を向いていた。
みんなの手にはクラッカーが握られていて、先程の破裂音はそれなのだと頭では理解したが、心は追い付いてこなかった。
銀行の時の事件がフラッシュバックされて一気に血の気が引き、藍里がその場で意識を失いそうになった時、後ろから肩に手を置かれてハッとした。