すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「大丈夫だ、あの時とは違う」

「う……ん……」

何度か深呼吸して呼吸を落ち着かせてから前を見ると、元同級生達が心配そうな顔をしていた。
肩に置かれた智大の手にそっと手を置くと、藍里より先に智大が口を開いた。

「なんだよこれ、結婚したこと誰から聞いたんだ？」

「あ……お、俺達の情報網舐めんなよ？前に智大達とショッピングモールで会ったって奴が、みんなに広めたんだ！」

「ああ、あいつか」

「最初は誰も信じてなかったんだけど、千栄に聞いたら本当だって言ってたから」

「それならおめでたいことだし、せっかくだから今日お祝いしようってなったんだよね！……良かったかな、藍里？」

再び心配そうな視線が藍里に集中し、藍里は少しだけ微笑むと頷いた。

「もちろん！突然で驚いたけど、すごく嬉しい。ありがとう！」

藍里の笑顔と言葉に全員が、わっ！！と声を上げると至る所から、良かったー！！と声が聞こえてきた。

「藍里の顔色悪くなってたから、お祝いされたくないのかなって思っちゃった！」

「うん、私もそう思った！実は結婚はしてるけど、永瀬に無理矢理迫られて断れなくてって理由で嫌々してるのかと……」

「うわ……あり得そうで笑えない……」

好き勝手言っている同級生達の言葉は中々的を得ていて、藍里も笑えずに顔をひきつらせた。