すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

〈智大side〉

「永瀬、今すぐ帰ってやれ。後は俺がやっとく」

「……いいんですか？」

「嫁さんが不調なんだろ？事件が起これば何があっても駆け付けないといけないんだから、何の事件も無くて平和な時くらいは傍にいてやれ！」

最初は真剣に、最後はいつものようにニカッと笑ってその体格に似合った力の強さで背中を叩かれた。
その痛すぎる力の強さと男前な言葉に智大は苦笑するが、すぐに表情を引き締めて敬礼した。

「ありがとうございます。何かあればすぐにご連絡ください」

「おう、何かあれば遠慮なく呼びつけてやる」

そう言われて敬礼を解くと智大はすぐに訓練さながらの早さで着替え、帰路についた。

喘息の発作の後は体力をごっそりと奪われるのか、いつもしんどそうにぐったりとしていた事を思い出し、自宅までの帰り道の途中にあるスーパーに寄り手早く食べられそうな惣菜を物色する。

藍里はよく小さめのサンドイッチを食べているから、一口サイズのサンドイッチが入ったパックを一つだけ買っておいた。
後は自分の分を適当に買って足早にスーパーを出ると、再び家を目指して走りだした。