すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「藍里、どうしても話しておきたいことがある。聞いてくれるか?」

「うん……」

智大の真剣な眼差しを受けて、藍里は一つ頷くと真っ直ぐ智大を見上げた。
緊張していると言っていただけあって、今日はずっと様子のおかしかった智大は、何を言おうとしているのか何度も深呼吸して緊張を逃がそうとしているようだった。

そんな智大の様子に藍里まで緊張してしまい、気持ちぐっと背筋を伸ばした。

「……俺は、今まで藍里を傷つけて悲しませてきた。だから俺はこの先、一生をかけて藍里に償っていくつもりだ。
今まで素直に伝えられなかった想いを伝え続ける。それでもいつか、藍里が俺の事を許せなくて、どうしても離れたいと強く思った時は……その時は潔く身を引く覚悟もしてる」

智大の淀みない言葉に揺るぎない本気を感じて、藍里は心臓がドクッと大きく嫌な音を立てたのと同時に背中に冷や汗が伝うのを感じた。

ーー待って……それって、つまりは……。

「離婚も……考えてるってこと?」

否定してほしいと願いながら震えそうになる唇を懸命に動かして問うと、智大は視線を反らすことなく頷いた。
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