すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「わ……たし、も……怖がったり……怯えたり……発作で迷惑かけるかもしれないけど……。それでも、智君とずっと一緒にいたい……二人で幸せになりたい……。
だから……こんな私でよかったら……よろしくお願いします……」

「藍里……」

「っ……」

何とか返事をすると智大は優しく、けれど力を込めて再び藍里を抱きしめた。
藍里はそんな智大に必死にしがみつき、溢れる涙をどうすることも出来ずにポロポロと流し続けた。

「素敵……!プロポーズ成功ね!」

「おめでとう!!」

「末長くお幸せにっ!!」

と周囲から一斉に拍手と祝福の声が聞こえてきて慌てて周りを見回すと、同じ部屋にいた人達がみんな笑顔で祝ってくれていた。

幻想的な空間と智大の言葉、はめられた指輪のせいで周りの事を失念していた藍里は急激に顔を赤くさせ智大の胸に額をくっつけた。

「は……恥ずかしい……」

「なんだ、人がいること忘れてたのか?」

「だって……あまりにも色々突然で……ビックリして……」

ゴニョゴニョと言い訳をしていると、智大はそっと藍里の頬を撫でた。
すると反対の頬に微かに触れる程度のキスをされて藍里が目を丸くしていると、智大はふっと笑った。

「いいか?ここにいる全員が証人だ。俺は絶対に藍里を幸せにする、もう傷つけない」

「私も……智君を幸せにする……」

言い終わると同時にゆっくり目を閉じると、智大が優しくキスをしてくれた。
周りからはさらに祝福の声が上がり、室内の星はさらに輝きを増したように感じた。

その星の輝きを受けた藍里の薬指の指輪も、まるで二人の幸多き未来を願うようにキラリと光っていた。
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