すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
家がご近所だったのと気が合ったという事もあり、藍里の母親はすぐに智大の両親と仲良くなった。
藍里や智大が母親に連れられてお互いの家に行き来することも多かったのだけれど、智大はいつも藍里にだけそっけない態度をとった。
ある日、智大の家の庭に咲いている薔薇があまりにも綺麗だったので、藍里は思わず手を伸ばした。
取るつもりなどなく、指先でそっと花弁に触れてみたかっただけだったのに、さわるなっ!!と突然大きな声で怒鳴られ藍里はビクッと体を跳ねさせる。
驚いて振り返ると、そこにはいつも以上に怖い顔をしている智大が立っていて藍里を睨み付けていた。
『それにさわるな!』
『……とらないよ?ちょっとだけ、はなびらにさわろうとおもった、だけ……』
『さわるなっていってるだろ!』
弁解する余地もないほどの大声で怒鳴られて、藍里は慌てて手を引っ込めた。
行き場の無くなった手をスカートの横でぎゅっと握り締め、込み上げてくる涙を唇を噛んで必死に我慢する。
何故怒鳴られたのか分からず涙目になりながら顔を上げると、目を吊り上げている智大と目が合った。
怒る男の子が怖いと初めて思った瞬間だった。
小学校に上がっても智大の態度が変わることはなかった。
暫くして気付いたのは、智大が冷たくそっけない態度をとっているのは藍里にだけだということ。
藍里以外には明るく元気で話も面白く運動神経も頭も良い、友達が多い智大はいつもクラスのリーダー的存在。
智大とは逆に、藍里は男子に対して芽生えていた恐怖心のせいで態度がぎこちない上に勉強もそれほど出来るわけではないし、喘息持ちで体も弱かったせいで運動も満足に出来ない。
そんな藍里にだけ智大が冷たくあたっているのを見て周りの子がどう動くかなんて、今思うと考えるまでもなかったのかもしれない。
藍里や智大が母親に連れられてお互いの家に行き来することも多かったのだけれど、智大はいつも藍里にだけそっけない態度をとった。
ある日、智大の家の庭に咲いている薔薇があまりにも綺麗だったので、藍里は思わず手を伸ばした。
取るつもりなどなく、指先でそっと花弁に触れてみたかっただけだったのに、さわるなっ!!と突然大きな声で怒鳴られ藍里はビクッと体を跳ねさせる。
驚いて振り返ると、そこにはいつも以上に怖い顔をしている智大が立っていて藍里を睨み付けていた。
『それにさわるな!』
『……とらないよ?ちょっとだけ、はなびらにさわろうとおもった、だけ……』
『さわるなっていってるだろ!』
弁解する余地もないほどの大声で怒鳴られて、藍里は慌てて手を引っ込めた。
行き場の無くなった手をスカートの横でぎゅっと握り締め、込み上げてくる涙を唇を噛んで必死に我慢する。
何故怒鳴られたのか分からず涙目になりながら顔を上げると、目を吊り上げている智大と目が合った。
怒る男の子が怖いと初めて思った瞬間だった。
小学校に上がっても智大の態度が変わることはなかった。
暫くして気付いたのは、智大が冷たくそっけない態度をとっているのは藍里にだけだということ。
藍里以外には明るく元気で話も面白く運動神経も頭も良い、友達が多い智大はいつもクラスのリーダー的存在。
智大とは逆に、藍里は男子に対して芽生えていた恐怖心のせいで態度がぎこちない上に勉強もそれほど出来るわけではないし、喘息持ちで体も弱かったせいで運動も満足に出来ない。
そんな藍里にだけ智大が冷たくあたっているのを見て周りの子がどう動くかなんて、今思うと考えるまでもなかったのかもしれない。