すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「妹さんですか?可愛いですね」

高校生くらいかな?と話しかけられた藍里は言葉に詰まってしまった。
どう誤解を解こうかと考えていると、一緒にいた男性が首を捻り何か疑問に思ったようだ。

「妹?智大に妹なんて……あれ、この子どこかで……って小蔦!?嘘だろ?何でお前が智大と……」

初めて藍里に目を向けた男性はすぐには思い出せなかったようだけど、やがて一致したらしい記憶の中の名前と姿に驚愕の声を上げ、その声の大きさに藍里は驚いて思いきり肩を揺らしてしまった。

「え、何で?何で一緒にいるんだよ?まさか……」

「結婚した」

「はっ!?結婚っ!?お前とこいつが!?
一体何があって…………いや、ちょっと待て、ちょっと待てよ?」

余程混乱しているのか一人で捲し立て、少しの間を空けて何か考え出した。
その間何を考えていたのか、はたまた何を思い出していたのかは分からないけれど、やがて何かに思い至ったようで信じられないような顔をして智大を見た。

「マジかよ……。お前、めちゃくちゃ不器用だったんだな……」

「余計な世話だ」

愕然とした様子の男性の言葉に一言で返した智大の表情は分からないが、二人だけで進んでいく話に藍里は肩身の狭い思いをしていたら再び男性が藍里に視線を移した。
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