すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「あー……その、なんだ……中学の時は悪かった」

頭を掻き、僅かに視線を反らしながらそう言った言葉を聞いてどこか他人事のように、この人は中学の頃の人か……。と思った。

「あの時は深く考えてなくて……ただ、みんなやってるし……じゃあ俺もって、そんな軽い気持ちだったんだ。
謝ってどうなるわけでもないのは分かってるんだけど、あの時の事をたまに思い出して、そして怖くなった。
結婚してこの先子供が出来た時、そいつがもしお前みたいな目に遭わされたらと思ったら……」

どうしようもない気持ちになった。と、そう言われて、頭の中にモヤがかかったように感じて何も考えられなくなった。
今さら謝られても……。と思う気持ちと話しかけられた恐怖が混ざって、何か言葉を発した方がいいのか、どうしたらいいのか分からなくなった結果、表情を無くし力なく俯いた。

「小蔦、俺……」

「ねえ、もう行こう……?彼女、震えてる……」

尚も何か言おうとした男性の言葉を一緒にいた女性が止めて、気遣うように藍里を見た。

きっと、このほんの少しの会話だけで昔何があったのか、そしてその関係性などが分かったのだろう。
女性は男性の腕を少し強めに引っ張ると男性は戸惑いながら頷き智大を見た。
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