すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「まだ金は用意できないのか！？」

「も、もう少しです……っ」

大声で急かす男に窓口の女性は怯えながら返事をした。
周りの人も勿論怯えていたし、藍里自身も怖くて震えが止まらなかった。

ーーモールでも銀行でも、何でこんな事に……。

今日は厄日なのか。
そうだとしてもこんな仕打ちは酷すぎると藍里は震えながら俯くと、どこからか小さな声が聞こえてきた。

「……なあ、あいつらの目を盗んで警察に通報した方がいいんじゃないか？」

「そうだな……このままじゃ俺達、どうなるか分からないもんな」

そんな声とごそごそと隠れて動く音が後ろから聞こえてきて、藍里は身を固くした。
もしあの男達にバレたらと気が気でなく、けれどどうすることも出来なくて、何とか気持ちを落ち着かせるためにゆっくりと深呼吸をしようとしたその瞬間ーー。

パァンッ！！と、さっきと同じ銃声が鳴り、真横を何かが凄い速さで通過した気がして、目を見開いた藍里は見なければいいのに怖々と後ろを振り返ってしまった。

「お前ら何やってんだ？撃たれたいのか？」

「「ひっ……！！」」

後ろにはスマホを片手に固まってる男性二人。
その後ろの壁には弾痕……。

真横を通ったのは銃弾だと理解したと同時に、ふっ……と目の前が暗くなり、一瞬意識が遠退きかけた。

その時、誰かの怒鳴る声とまた近くに発砲した音。
それと同時に力強く大きな手で傾きかけた体を支えられたのを感じてハッと意識を取り戻した。