すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
パァンッ!!と五度目の銃声が鳴り響き、どこからか悲鳴が上がった。
藍里も小さく悲鳴を上げて恐る恐る発砲した主犯格の男を伺い見ると、男は拳銃を天井に向けて目出し帽の隙間から見える顔を真っ赤にして怒りに震えていた。

「誰だ……警察に通報しやがったのは……!お前かっ!?」

「「ひっ!!」」

主犯格の男が藍里の後ろ。
さっきスマホを取り出していた男性二人に銃口を向けると二人は真っ青になりながら千切れんばかりに首を左右に振った。

「なら、お前らの誰かかっ!?」

言いながら次は窓口の奥、銀行員の誰かに銃口を向けやけくそになりながら六発目の発砲をした直後ーー。

「動くなよ」

小さく、けれど藍里にはしっかり聞こえる声でそう言うと、智大は藍里から手を離し主犯格の男目掛けて走り出した。

「な……っ!!」

智大の突然の行動に動揺した主犯格の男は慌てて拳銃を向けるがそれよりも早く智大が男の拳銃を蹴り飛ばし、腕を掴み捻り上げ、あっという間に床に押し付けて拘束してしまった。

「っ……離せっ!撃つぞっ!!」

智大の動きについていけず、一瞬動きを止めていた仲間達は持っていた拳銃を智大に向けて威嚇するが、智大は男二人を一瞥すると器用に片眉だけを吊り上げた。
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