すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
すぐにやってきた女性医師に診察され、どこにも異常がないと診断されると次は女性警察官が二人やってきた。
苦でなければすぐにでも聴取したい、体調が悪くなればすぐに引き上げると言われ藍里は頷いた。

特に問題なく聴取は進み、もう少しで終わるというところで女性警察官の一人は藍里に笑顔を向けた。

「それにしても、ある意味運が良かったですね」

「運が良い……?」

「あ、それ、私も思いました!あ……事件に巻き込まれた方々や永瀬さんにはとても申し訳ない言い方ですけど……」

と、聴取を筆記していたもう一人も同意するように言ったので藍里は首を傾げた。

「あの手の犯罪って解決に時間がかかるんですよ。
上手く逃げられてしまったりとか、下手したらその場にいた人全員を人質にして立て籠るとか……」

「そうなったら人質になってしまった人達の精神状態も考慮して、でも犯人を逆撫でせずに交渉して……ってなって早期解決には中々至りません」

確かに、あんな張り詰めた空気の中であれ以上解決に時間がかかってしまっていたら、藍里は耐えられなかったかもしれない。

良くて早々に気絶するか、最悪発作が起きるか……。

そう考えて身震いしていると女性警察官二人が嬉しそうに顔を見合わせた。

「そこで早期解決の糸口となったのが“あの”永瀬さんですっ!!」

と口を揃えて言って藍里は目を丸くして数回瞬きをした。
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