すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
いつも不思議だったのは、意地悪をされた翌日以降はその男の子達の嫌がらせがピタッとなくなることだった。
それでも暫くしたらまた同じ男の子や、全く違う男の子達が様々な嫌がらせや暴言を吐いたりするということは繰り返されるが、それも大体数日以内には一端なくなり藍里の周りは静かになる。
そんなことが小、中、高と続き、気付けば極度の男性恐怖症となっていたのだけれど、それも当然だった。
一方智大は小学生の頃には野球、中学ではサッカー、高校ではバスケと多岐にわたって活躍し、身長も高く体つきも立派なスポーツ少年風に引き締まり相変わらず男女問わず人気者となっていたが、藍里に対する態度は幼年からずっと変わることなく、冷たくてそっけないままだった。
そしてそんな智大はいつしか、藍里が最も恐怖を感じる男性像そのものになっていたーー。
「おい」
「っ!」
ぼんやりしすぎたらしく、藍里は智大の声にビクッと大きく肩を跳ねさせた。
話しかけられたことに血の気が引く思いで恐る恐る顔を上げると、そこには片付けを終わらせたのか無表情でこちらを見下ろす智大がいた。
「ぁ……」
「ぼやぼやしてるだけなら邪魔だ。寝室にでも行ってろ」
それだけを言い捨てて背中を向けると、智大は風呂に入るために去っていく。
その背中が見えなくなると藍里はいつの間にか止めていたらしい息をゆっくり吐き、のろのろと立ち上がって二階の寝室へと移動した。
部屋の中央に置かれた二人で眠れる大きめのベッドの横に備え付けているサイドテーブルの一番上の引き出しを開けると、その中に入れていた鍵付きの小さな箱を取り出して蓋を開けた。
中には数種類の薬と持病の喘息の為の合剤が入っていて、薬を口に入れるとテーブルの上に常備している水をコップに注いで流し込み、最後に吸入した。
「今日も、朝まで起きることなく眠れますように……」
胸の前で両手を組んで願いを込めるように小さく呟くと箱を元の場所に戻してのそのそとベッドに潜り込み、落ちてしまうのではないかと思われるくらいの隅っこまで移動すると体を出来るだけ丸くして藍里はそっと目を閉じた。
それでも暫くしたらまた同じ男の子や、全く違う男の子達が様々な嫌がらせや暴言を吐いたりするということは繰り返されるが、それも大体数日以内には一端なくなり藍里の周りは静かになる。
そんなことが小、中、高と続き、気付けば極度の男性恐怖症となっていたのだけれど、それも当然だった。
一方智大は小学生の頃には野球、中学ではサッカー、高校ではバスケと多岐にわたって活躍し、身長も高く体つきも立派なスポーツ少年風に引き締まり相変わらず男女問わず人気者となっていたが、藍里に対する態度は幼年からずっと変わることなく、冷たくてそっけないままだった。
そしてそんな智大はいつしか、藍里が最も恐怖を感じる男性像そのものになっていたーー。
「おい」
「っ!」
ぼんやりしすぎたらしく、藍里は智大の声にビクッと大きく肩を跳ねさせた。
話しかけられたことに血の気が引く思いで恐る恐る顔を上げると、そこには片付けを終わらせたのか無表情でこちらを見下ろす智大がいた。
「ぁ……」
「ぼやぼやしてるだけなら邪魔だ。寝室にでも行ってろ」
それだけを言い捨てて背中を向けると、智大は風呂に入るために去っていく。
その背中が見えなくなると藍里はいつの間にか止めていたらしい息をゆっくり吐き、のろのろと立ち上がって二階の寝室へと移動した。
部屋の中央に置かれた二人で眠れる大きめのベッドの横に備え付けているサイドテーブルの一番上の引き出しを開けると、その中に入れていた鍵付きの小さな箱を取り出して蓋を開けた。
中には数種類の薬と持病の喘息の為の合剤が入っていて、薬を口に入れるとテーブルの上に常備している水をコップに注いで流し込み、最後に吸入した。
「今日も、朝まで起きることなく眠れますように……」
胸の前で両手を組んで願いを込めるように小さく呟くと箱を元の場所に戻してのそのそとベッドに潜り込み、落ちてしまうのではないかと思われるくらいの隅っこまで移動すると体を出来るだけ丸くして藍里はそっと目を閉じた。