すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
朝の日差しが入る前、いつもなら智大が日課のジョギングに向かう時間に藍里は目覚めた。
寝る時間が遅くなかなか寝付けなかった為すっきり爽やかな目覚めとはいかないが、久々にちゃんと起きれたことに安心した。

リビングに向かい電気を付けようとした時、ソファの肘掛けから何か飛び出しているのに気付いて動きを止めた。

ーー……何……?

不思議に思い、ソファの後ろから覗きこんで見たその“何か”に藍里は声が出そうになるのを咄嗟に手で口を塞ぎ必死に堪えた。

その“何か”とは、いつもならとっくにジョギングに行っているはずの智大。
瞳は閉じられ規則的に上下している胸を見ると、どうやら昨晩は寝室には来ずにここで眠ったらしい。

「どうしてここで……あ、起こした方がいいのかな……?それとも寝かせておく……?」

何故ここで寝てるのか、ジョギングの為に起こした方がいいのか、それとも寝かせておくべきなのか……。

どうすることが最善なのか分からずおたおたするが、体の上に何も掛けていない智大が無意識に腕を擦ったのを見て藍里はピタッと動きを止めた。

「……疲れてるかもだし、たまにはジョギングお休みしても……いいよね?」

誰に聞くでもなく一人でそう結論づけると、回れ右をして今しがた入ってきたばかりのリビングのドアを開けて出ていく。
寝室に戻り、さっきまで藍里が使っていた毛布を持ち上げるとリビングへと再び向かい、起こさないよう慎重にそっと大きな体に毛布を掛けた。
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