すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「遅い」
「っ……!」
突然放たれた言葉にビクッと反応し晩ご飯の準備として野菜を切っていた包丁の手を止めると、恐る恐る冷蔵庫からペットボトルの水を取り出した智大を見た。
「手つきも危なっかしい」
「ごめん、なさい……」
水を飲みながらそう言ってくる智大に、ついさっき怖がらないように努力しようと思った気持ちは一瞬で泡のように消えていってしまった。
怖がらせるつもりはないと言われたけれど、やっぱり怖い。
無表情なのも、言い方も、威圧感たっぷりで恐怖を感じるなと言う方が無理だと思った。
「貸せ、俺がやる」
「っ……!!」
ペットボトルを冷蔵庫に戻して手を伸ばしてきた智大に驚き、あろうことか包丁から咄嗟に手を離してしまった。
手から離れた包丁はまな板の上で大きく跳ねて、藍里の左手の人差し指にその切っ先が当たった。
「痛っ……!」
「っ……この馬鹿っ!!」
突然大きな声で怒鳴られ、咄嗟にギュッと目を瞑った。
途端にジンジンと痛みを感じる左手をさっき圭介に触れられた時よりも力強く、無骨な男らしい手が掴んできたのを感じて大きく目を見開いた。
「あんなに乱暴に包丁から手を離す奴がいるかっ!!」
ーーあ……怒ってる……。
そう思った時には視界が暗くなっていくのを感じ、藍里は智大に怒鳴られている恐怖から逃げてしまうかのように意識を手放した。
「っ……!」
突然放たれた言葉にビクッと反応し晩ご飯の準備として野菜を切っていた包丁の手を止めると、恐る恐る冷蔵庫からペットボトルの水を取り出した智大を見た。
「手つきも危なっかしい」
「ごめん、なさい……」
水を飲みながらそう言ってくる智大に、ついさっき怖がらないように努力しようと思った気持ちは一瞬で泡のように消えていってしまった。
怖がらせるつもりはないと言われたけれど、やっぱり怖い。
無表情なのも、言い方も、威圧感たっぷりで恐怖を感じるなと言う方が無理だと思った。
「貸せ、俺がやる」
「っ……!!」
ペットボトルを冷蔵庫に戻して手を伸ばしてきた智大に驚き、あろうことか包丁から咄嗟に手を離してしまった。
手から離れた包丁はまな板の上で大きく跳ねて、藍里の左手の人差し指にその切っ先が当たった。
「痛っ……!」
「っ……この馬鹿っ!!」
突然大きな声で怒鳴られ、咄嗟にギュッと目を瞑った。
途端にジンジンと痛みを感じる左手をさっき圭介に触れられた時よりも力強く、無骨な男らしい手が掴んできたのを感じて大きく目を見開いた。
「あんなに乱暴に包丁から手を離す奴がいるかっ!!」
ーーあ……怒ってる……。
そう思った時には視界が暗くなっていくのを感じ、藍里は智大に怒鳴られている恐怖から逃げてしまうかのように意識を手放した。