でたらめな愛のうた









電飾で光り輝くビルが軒並み並んでいる。
そこから腕を組み合うカップルが出てくるのをもう何十回と眺めた。

そしてその度に向けられる


怪奇な視線。


もちろんそれが一体どういう意味を持ち、そしてどんな感情を込めた視線かなんてものは丸わかりなわけで。



どうせ


(うっわぁこの人ラブホの前で一人で待ってるよ)

(あれかな?彼氏からドタキャンされたとか?)

(それって待ち合わせがここってこと?明らか体目的じゃね?もしくは浮気現場発見?)

(まぁ結局どちらにしてもさぁ)





((最低な彼氏には変わりないよね。))






とかなんとか考えているんだろう…。


そう思うと自嘲的な笑みと共に、ふつふつとやつに対しての怒りが今まで以上に湧き上がってきた。




私だって好きで待ってる訳じゃない…!
というかむしろ暗黙のうちの強制、いや脅迫に近いかもしれない。
これは私の嫌になるくらいの正義感を上手く使われた結果であり、そしてあいつはそれを知りながら「ごめんねぇ」なんていう軽い調子で謝ってくるわけだ……。


「ふ…ははは……」



思わず腹の底から低くはいでるような笑い声が出てきてしまう。

それと同時に、私はまたいつもと同じ決意をするのであった。





あの野郎っ…ぶっ倒す…!







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