生簀の恋は青い空を知っているか。

そう尋ねられると、確かに無い気がする。
最初から『暗い』と言ってきたくらいだし。

なるほど、今更浅黄さんとの交流のコツを知った。

「部屋、次の更新で解約します」
「ああ」
「あと、やっぱり洗濯機持って行って良いですか?」
「好きにどうぞ。ベッドも一緒に持っていけ」

新しく買った敷布団はもうすぐお役御免になりそうだ。

浅黄さんが寝転がったままこちらに手を伸ばしてくる。肩を掴まれて、引っ張られて倒される。

寝転がって向かい合う。浅黄さんは既に目を瞑っていた。
もしかしてこの人、誰かが近くにいないと眠れないのでは。

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