生簀の恋は青い空を知っているか。
いま、軽く、宇宙を見た気がするのですが。
「これから俺の前で悠介の名前を出したら罰金な」
「え、ええ……」
非難の声をあげれば、片手で両頬を挟まれた。
「『貴方が良かった』って言わせてやる」
「ん?」
「君が俺を選んだのは、自由になるのに丁度良かったからだろ。誰でも良かったわけだ」
そう言われて、何も言えない。全くその通りだ。
だってわたしたちは契約で結ばれて、愛とは無縁の場所で一緒になっている。
なっている、はずだった。
こんな風に一緒にベッドに横になる将来なんて、あるはずがなかった。