生簀の恋は青い空を知っているか。
今となってはアラサーの三人組だけれど。
「良かったね、パパ喜んだでしょう?」
「知らない。あれから実家帰ってない」
「ね、最中さんってどんな人なの?」
「知らない。あれから会ってない」
えー、と理美が不満な声をあげる。そんなこと言われましても。
わたしはとりあえずグラスを空にして、メニューを見た。カクテルを今日は全制覇する予定。
「最中さん忙しいの?」
「わたしは忙しい」
「結婚したら松葉は仕事辞めるんでしょう? 良いなあ、あたし働きたくなーい」
理美が背もたれに背中をつけて、だらりと脱力した。