生簀の恋は青い空を知っているか。
首を傾げて浅黄さんが問うてくる。
「それとも君が使いたいのとストック用のこれと二台買うか?」
わたしは即座に首を振った。
「洗濯機のストックなんて聞いたことないです!」
「俺もだ」
「……こっちにします……」
他の最新の洗濯機を見ることなくそれに決めたのは、正直わたしにとって洗濯機は洗いと濯ぎと脱水が出来ればそれで良いからだ。
そのうえで洗濯を自分でしない浅黄さんがこれが良いと決めたなら、もうそれで良かった。
浅黄さんの目は本質を捉えているので。
さきほどの店員さんを呼んで、この洗濯機を買うことを伝えた。