生簀の恋は青い空を知っているか。
煩くなってしまった心臓を抑えて、どうにかしてランチを食べ終えた。食後のコーヒーを飲んで店を出た。
「あ、晴れてる」
夕暮れの光が雲の切れ間から差し込んで眩しい。
眩しいのを分かっていて、目を細めながらもそちらを見てしまう。
やっぱり光のある方は綺麗だから。
歩き出してから傘を忘れたことに気づく。二人して店に戻った。
「よし、かったな」
「洗濯機ですか」
「いや、勝負」
しょうぶ? とは思ったけれど、次はきちんと変換ができた。
「相手を好き勝手にできる権利を獲得した」
少しニュアンスの変わったそれに、嫌な意味で心臓が煩くなったのは、言うまでもない。