生簀の恋は青い空を知っているか。
グラスをごとん、と置く音が重なった。理美とだ。
「二人とも神妙な顔して、なんなの……」
わたしと同じ26歳になった鼎が若干引いた顔をしてそれを見る。
「浅黄さんといると動悸息切れが激しくなるんだけど……病院に行くべきかな?」
「その中学生レベルの恋愛相談やめてもらえない? こっちも貴方もアラサーだから」
「やっぱり好きなのかな!?」
「松葉酔ってるの? 声が大きい」
次は可哀想なものを見るようにして制止された。わたしは言われた通り静かにする。
「それは好きってことだよ!」
わたしの閉口も虚しく、隣で理美が主張した。