生簀の恋は青い空を知っているか。
雨女と晴れ間。
雨が降っている。お見合いの日でも雨って降るんだよな、と軒先からテンポ良く落ちる雫を目で追う。
「戻って。相手の方が見えたらしいから」
障子が小さく開き、母がこちらを覗く。その目にも雨が映ったらしく、小さくため息を吐いた。
「貴方ほんとう雨女ねえ」
その言葉に苦笑いしか返せない。わたしは部屋に戻って、見合い相手を待つ。
絶望感と希望。その二つが頭の中で揺らぐ。
「お待たせしました、道が混んでまして」
襖が静かに開いて、その人が現れた。
目が合う。
運命的なものは何も感じなかった。