生簀の恋は青い空を知っているか。
後ろ姿を見ながら、思う。
いつか、知られる日がくると思う。嘘は墓場まで持っていけても、隠し事は持ってはいけないようにできている。
叔父がよくそう言っていた。
「いつか……」
いつかって、いつだろう。
病室の窓の外を見ながら呟いてみたものの、誰からも返事はない。
わたしはそれを知ってほしいのか、ほしくないのか。呼吸器をつけられている兄を見る。
思えば、浅黄さんと同い年だ。もしも普通に挨拶を出来ていたら、一緒に飲みに行ったりするのかな。
そんなことを想像してちょっと笑った。この病室で笑ったのは初めてだった。