生簀の恋は青い空を知っているか。

「じゃあ愛想良くしろ」
「命令されて出来てたら、わたしだって苦労しません」
「今から月並みなことを言う」

前置きがあって、浅黄さんが言った。

「できないんじゃなくて、やれ」

こわ。
というか、この人を上司に持たなくて良かったとすら思った。
絶対スパルタだ。

「鬼上司」
「あ?」
「って、浅黄さんの後輩さんは思ってるだろうな、と。代弁してみました」
「勝手にすんな」

呆れた顔で、小さく息を吐いた。

だって本当に思ったんだもん、と唇を尖らせる。次に浅黄さんの方を見ると、背もたれに背中を預けて目を閉じていた。

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