生簀の恋は青い空を知っているか。

眠かったらしい。首が痛くなりそうな角度だ。

「ベッドで眠った方が良いですよ」
「あー、うん」
「浅黄さん。明日、最大限の愛想で頑張りますね」

半分以上夢に浸かっている浅黄さんにそう宣言すると、浅黄さんが少し笑った。

「期待してる」






起きたら既に浅黄さんの気配はなく、家の掃除やら洗濯やらをしていると、すぐに夕方になった。

気が重い。
キプリナスホテルの取引先の何周年パーティーだと聞いているけれど、知らない人が多い場所に行くのが面倒くさい。

しかも浅黄さんの隣を歩かないといけないだなんて。

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