生簀の恋は青い空を知っているか。
え、いや別に、それで……。
わたしの言葉は届かず、店員さんは他の商品を探しに行ってしまった。
正直、ドレスの良し悪しが未だに分からない。それは確かに、可愛いとか好みとかはあるけれど。
一年に一度か二度着るだけの服にそんなに拘る必要もないんじゃないか、とわたしの中で結論は出てしまっている。
「こちらはどうですか? 袖と裾にレースを配っております」
だからできるだけ、安いもので。何よりそこは重要。自分の家計を崩さない程度のもので。
「あ、じゃあそれで……」
ごり押しされたそれを手に取って、鏡の前で合わせてみる。確かに袖のレースが綺麗だった。