生簀の恋は青い空を知っているか。

脳裏に浮かんだのは星奈さんだったからだ。

「こちらのドレスは如何でしょうか」

扉の奪い合いをしている中、店員さんがすっと入ってくる。二人の視線がそちらに集まり、扉は壊れずに済んだ。

何着か持ってきてくれた中で、最終的に浅黄さんが決めた。わたしは着替えすぎて、もう飽きてしまっていた。

お会計金額から目を背けて、浅黄さんのカードで払う。
店の外まで見送られて、そこを出た。

「わたし、一回家に帰って荷物を置いてきます」

幸いパーティーまで時間が少しある。着ていた洋服をロッカーに預けるかどうか考えていたので、ちょうど良い。

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