生簀の恋は青い空を知っているか。
勿論拒否権なんてなく、唇が重なる。深くなるキスに、救いを求めるように浅黄さんのスーツを掴んだ。
唇が離れる。見上げた浅黄さんの口にわたしの口紅がついていて、それを拭おうと手を伸ばす前に、ぺろりと紅が舐められた。
宙で止まったわたしの手を見て、浅黄さんはきょとんとしている。
色気の塊だ。あわあわと心の中で軽くパニックになる。いや、完全に顔に熱が集まっていた。
顔を逸らして、熱を冷ます。
「どうした」
「レベルが……」
「レベル」
「違うなあ、と思って」
ぎゅっと胸のあたりで拳を握る。やっと整った呼吸に、話を続ける。